【組織づくり】自律型組織のメリット・デメリット!~ティール・ホラクラシー・アジャイル~ | ゼロワン研究所

2021.2.16

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【組織づくり】自律型組織のメリット・デメリット!~ティール・ホラクラシー・アジャイル~

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「時代が変化してきている中でこれまでの組織体系では限界を感じている」
「自律型組織が強い組織づくりのために有効であるという事を聞いたが概要を把握していない」
昨今のコロナウイルスにより、社会情勢が大きく変化し、会社もそれに応じて対応できる組織づくりに挑戦していかなければなりません。もちろん、これまでのピラミッド型組織はたくさんのメリットがありますし、自律型組織にデメリットが存在することも確かです。

ですので、まずは自律型組織がどのようなものであるかというのを経営者が知り、その概要を把握した上で組織づくりに役立てていく必要があるのです。

そこで今回は、自律型組織をテーマにメリットやデメリット、存在意義などについて解説していきます。
自律型組織について全く分からない経営者の方から、導入を検討している方までぜひご覧ください。

自律型組織とは?

自律型組織とは、社員全員が自分の立てた規律に従って行動できる組織のことで、それぞれの社員が当事者意識を持つ必要があります。権力が組織の一部に偏ることなく、分散されているイメージになりますので、社員は上層部に全ての指示を受けなくても意思決定を下すことができるのです。

つまり、社長が指示を出さなくても主体的に行動することができる組織であると言えます。これまでの組織は、ピラミッド型の組織が一般的でしたが、さまざまなメリットがあることから、自律型組織を目指す企業が増えています。

現代はVUCA(ブーカ)の時代~VUCAとは~

皆さんはVUCAという言葉を聞いたことがありますか?VUCAは、下記の4つの頭文字から成り立っています。
・Volatility(変動性・不安定さ)
・Uncertainty(不確実性・不確定さ)
・Complexity(複雑性)
・Ambiguity(曖昧性・不明確さ)

VUCAはあらゆる環境が著しく変化し、現在の社会経済環境が予測困難な状態を表す言葉です。昨今は新型コロナウイルスなどの影響により社会全体で大きく変化が求められていますが、そうした状態が長く続いていることから、現代はVUCAの時代真っ只中であると言えます。

経営者はこのVUCAの時代にさまざまな変化への対応力が必須であることを、頭に入れておきましょう。

なぜ自律型組織は組織づくりで注目されるのか?

従来組織のスタンダードであるピラミッド組織から、近年は強い組織づくりにおいて自律型組織が注目されています。ではなぜ、自律型組織が注目されているのかというと、それは先ほど説明したVUCAの時代が関係しています。

めまぐるしく情勢が変化していくなかで意思決定が遅くなると、時としてそれが致命傷になることもあり、即座に対応できる組織が求められるようになっています。社員が自ら主体性を持って行動することができる組織というのは、変化に強いとされているため、VUCAの時代において自律型組織は注目されているのです。

管理型組織と自立型組織の違いについて

管理型組織とは、上司からの指示により部下が行動する流れのある組織であり、意思決定や人事評価は管理職やリーダーが行い、明確な上下関係があります。

対して自律型組織は個々の意思決定により役割が分担されており、上下で統制をとるというよりも、それぞれが己の役割を果たすという点に焦点が当たっている組織になります。

自律型組織の種類を紹介

続いて、自律型組織の種類について見ていきましょう。

ホラクラシー組織

ホラクラシー組織とは、役職や階級といった上下関係が存在しないフラットな組織構造のことを示します。権力を人ではなくホラクラシー憲法と呼ばれるルールを置き、意思決定が組織内で分散されるという点が特徴として挙げられます。

組織内に上下関係が存在しないため、メンバーのそれぞれが主体性を持って仕事に取り組むことが期待でき、欧米の企業などで導入され注目されています。

ホラクラシー組織の特徴

ホラクラシー組織は、ピラミッド型ではなく、円形(ロール)で組織が表現されており、役職単位での管理ではないため、役割が一人ひとりにしっかりと分けられています。そのロールが複数から成り立っている場合には、それをサークルと呼び、サークルには必ず「リードリンク」「ファシリテーター」「セクレタリー」「レップリンク」の4つのロールが存在します。

リードリンク…各ロールにメンバーを任命したり、サークルの優先度や戦略を提示する。
ファシリテーター…憲法で定義された会議を憲法の則り進行する。
セクレタリー…会議を設定したり、会議の記録をとる。
レップリンク…スーパーサークル(サークルの人数が増えた際に拡張されたもの)に、サブサークル(新規のサークル)のKPIなどを報告する。

組織を縦型ではなくロールとサークルによって円形にすることで、組織内に現状と理想のギャップがあったときにでも、自律的に対応ができるようになります。役割が細かに分けられていることで、従来の組織にあった担当マネージャーに集中していた責任や問題は、各々に分散され責任持って行動ができるようになります。

また、従来の組織であれば配置換えは頻繁に起こりませんが、ホラクラシー組織は月に1回ガバナンスミーティングというものが開催され、サークル内の構造を自律的に変更することができます。ロールの目的や権限、責務といった部分について、メンバーの誰もが変更提案することができる点も、フラットな組織づくりに役立っています。

ティール組織

ティール組織は、組織の進化論を説いてベストセラーになっている『ティール組織』(原題:Reinventing Organizations)の著者である、フレデリック・ラルーが提唱している組織形態です。ティール組織もホラクラシー組織と同様に管理職やリーダーが存在せず、マネジメントの仕組みがない代わりとして、一人ひとりが大きな裁量権を持っています。

ティール組織とホラクラシー組織は近いものですが、ティール組織は抽象的存在でありホラクラシー組織はティール組織の一形態であるとされています。ティール組織には指示系統がなく、旧来の意思決定の遅さや、メンバーが成長しないといった問題を克服することができるとしています。

ティール組織の特徴

ティール組織は、「Red組織」「Amber組織」「Orange組織」「Green組織」「Teal組織」の5段階のフェーズに分けて考えられます。

Red組織

Red組織は、圧倒的な権力を持つリーダーが支配的にマネジメントするもので、最古の組織モデルとされます。リーダーは自分の立場を守るために行動するようになり、メンバーは自身の安心を勝ち得るためにトップの支配を受け行動するようになります。リーダーに依存するため、再現性のない組織であり、将来的な取り組みが苦手という側面もあります。

Amber組織

Amber組織は、軍隊のような組織であり、階級や権力などの概念を組み込むことで全体の統制を図るものです。ピラミッド型の権力構造により、ルールに基づいた大規模な組織にもすることが可能です。

ただし、同じ手法で組織が運営されていくため、変化には対応しにくいという側面を持ち、環境が変わらない状況でないと安定して運営ができないとされています。


Orange組織

Orange組織は、階級は存在していながらも、成功をすることで評価を受け昇進することができる組織であり、社会的成功を最終目標としています。現代の多くは、Orange組織であるとされ、定量的な評価がなされ能力のある社員が活躍できる環境となっています。

目標達成を第一にしているため、過重労働につながってしまうという問題があります。

Green組織

Green組織は、各メンバーの多様性を尊重した組織モデルであり、現場に十分な裁量を与えるボトムアップ型の組織になります。組織の目標達成だけでなく、思いやりを重視しており、働きやすい環境を目指します。ただし、細かいルールは設けられておらず、業務が円滑に進まなかったり、合意形成に時間がかかってしまう問題があります。

Teal組織

Teal組織は、独自にルールや仕組みを工夫しながら組織運営が行われ、上司や部下の概念がなく、現場のメンバーが決定を下していくという特徴があります。組織の目的を実現するに際し、まずは目の前の課題解決が先決とされ、意思決定に多くの時間を割くことはありません。

アジャイル組織

アジャイル組織とは、組織をフラットなチームの集合体であると考え、これまで上層部に集中していた権限を各社員に分散し、迅速な意思決定や早いサイクルを実現する自律型組織になります。アジャイル組織ではチームごとに、戦略や技術を形成することができるだけでなく、全員の向かう方向性が明確となり、安定性を保つことができます。

アジャイル組織の特徴について

アジャイル組織の戦略は、変化するニーズを追いかけていくために、柔軟なアプローチの設定と北極星の設定を行います。柔軟なアプローチの設定では、顧客に合わせた多様なカスタマイズを可能にさせて、顧客のニーズが変化したとしてもサービスの大元は変えずに対応することができるようになります。

北極星の設定とは、組織全体で共有する目的やビジョンを指します。この2つを組み合わせることで、サービスのチャンスを逃すことなく、新たなビジネスチャンスに感知できるようになります。

また、アジャイル型のプロセスはスピーディーであり、企画や計画の時間を長く割くことはありません。まずは、実験を行ってその結果から次の目標を設定し改善を進めることで、コストや時間の削減が可能になります。

アジャイル組織の考える人材について

アジャイル組織では、組織内の全社員に権限を与えるわけですが、これまでの組織のように社員をコントロールするのではなく、それぞれの社員がスキルを伸ばして意思決定ができるようにします。また、社員に経験を積ませてスキルを伸ばすために、部署間移動を奨励することで、新たな能力開発を推進しています。

自律型組織のメリット・デメリット

続いて、自律型組織のメリット・デメリットについて見ていきましょう。

ホラクラシー組織のメリット・デメリット

ホラクラシー組織のメリットとしては、従来の組織では問題になることもあったマネジメントスキルのばらつきがなくなる点と、上下関係による人間関係の悪化などを避けることができる点が挙げられます。業務に集中ができるように、個々の役割が明確化され、効率と生産性の向上が望めます。

ホラクラシー組織のデメリットとしては、通常の組織ではピラミッド型の組織が一般的であるため、ホラクラシー組織に移行するまでに時間がかかってしまうという点と、仕組みがやや複雑であるため、腹落ちするまで理解することが難しい点が挙げられます。

また、管理者がいなくなることで、社員行動の把握が難しくなるというデメリットもあります。


ティール組織のメリット・デメリット

ティール組織のメリットは、当事者意識の強化がまず挙げられます。ティール組織は個々の能力に応じて役職ではなく業務が割り当てられ、個々が組織の目的達成のために行動を起こすようになります。そして、主体性を持つことができ、セルフマネジメントが可能になってきます。

また、ピラミッド型組織では、時として適正のない業務をこなす必要があったりもしますが、能力に応じて業務が割り振られるという特徴があるため、出来ない業務により昇給がされないといった影響を受けることがありません。

ティール型組織のデメリットとしては、各メンバーの自立が必ず必要であるという点が挙げられます。上下関係がなくなるため、それぞれが組織の目的を理解して自律的に行動をするというマインドがなくては、組織は個々の集合体であるため事業の成長は難しいでしょう。

上司がいなくなり、フラットな組織であるということは、個々の成長なくては組織も衰退してしまう可能性があるということです。

アジャイル組織のメリット・デメリット

アジャイル組織のメリットは、変化に対応をすることができるスピードが挙げられます。まずは意思決定により行動を移し、その後の状況に合わせて軌道修正をしていきます。まずは行動し、修正を繰り返すことで制度も次第に高まっていくという考え方から従来の組織よりも、スピーディな経営をしていくことができます。

また、全社員に権限を与える組織文化があり、さまざまな経験の機会を社員に提供されたり、上下関係がなくても構造を正しく設計すれば、安定した組織を築くこともできます。

アジャイル組織のデメリットとしては、導入にあたって組織構造が大幅に変化するため、導入自体が難しいという点が挙げられます。上下関係なくフラットな組織というのは、それまでの組織体系を一度忘れる必要があるため、戸惑う社員も必ずでてきてしまいます。

また、変化するニーズに対応するために、顧客からニーズを吸い上げて対応していく必要があるのですが、これまでのやり方を続けたいというメンバーがいると、浸透までにはかなりの時間を要することになります。

自律型組織を目指すには?

これまで紹介したように、自律型組織と言ってもさまざまな種類があることがお分かりになったかと思います。ただし、それぞれの自律型組織には共通するキーワードがあります。それは、主体性です。主体的に考える社員、そして対話や協働を行う文化、仕組みが揃って機能するものであり、すべてにおいて主体的に動く人間がまずいなければ成り立ちません。

ピラミッド型の組織であれば、上司が管理してくれるという面があるため、主体性がなかったとしても、組織は上司の管理によって機能します。また、組織に属する人間というのは互いに影響を与え合うため、主体性のない社員が混じることにより、組織風土も間違った方向に向かってしまうことも考えられます。

組織づくりはテレワークも意識していく必要がある

昨今の新型コロナウイルスにより、テレワークの導入を進めている企業は多くあります。これまで一つの会社に集まって業務をこなしていた形から、個々が別の空間で働くことになりますので、それぞれが責任感を持って職務を全うしなければなりません。

これまでの支配的なマネジメントから、目標に向かって行動する社員の組織づくりを意識していきましょう。

変化を加えることは怖さもありますが、日に新たな気持ちで、過去の考え方やこれまでのやり方にとらわれることなく、事をなしていく姿勢を経営者は持ちたいものです。完全に自律型組織に移行せずとも、取捨選択をしてその会社に合った形を模索してみても良いのではないでしょうか。

強い組織づくりのために!自律型組織の実践方法

強い組織づくりのために、自律型組織はどのように構築すればよいのでしょうか?それぞれの自律型組織の種類により細かく異なってきますが、なるべく共通する部分を吸い上げて方法を説明していきます。

まず、自律型のコミュニケーションは、双方向で行われるようにします。これまで、指示系統が上司から部下というものだったと思いますが、フラットにする中で随時コミュニケーションを行える環境を整えます。続いて、情報開示です。

上層のみが知っていればよかったことも、個々が責任を持って職務を遂行するなかで、オープンにしていかなければなりません。

規律型の組織はオーケストラ、自律型の組織はジャズセッションに例えられることがあり、これまでの組織は指揮者に従っていたのに対し、自律型のジャズセッションでは、お客さんの反応を見ながら状況に合わせて演奏をすることとなります。

自律型では、権限が分散されているので、共通の目的達成に向けてのすり合わせをするのに、円滑なコミュニケーションができなければなりません。

企業理念・経営理念を浸透させること

目標に向かって社員が突き進んでいくためには、企業理念・経営理念を浸透させることはかかすことができません。理念を定めることで、共通の価値観や判断基準ができあがるため、業務における意思決定のスピードを上げることができます。主体性を持って動く組織にしていくためにも、方向性が合わなければ組織もバラバラになってしまう可能性があります。

「フラットで個々に裁量があるのなら、それぞれが思う形で進めばいいのではないか…」と勘違いしてしまう社員を生まないためにも、企業理念をしっかり浸透させる必要があります。企業理念は一体感を生むことができますので、組織づくりの強化には大切であるということを経営者は頭に入れておきましょう。

まとめ:自律型組織のメリット・デメリット!~ティール・ホラクラシー・アジャイル~【自律的に動く組織づくり】

いかがでしたか?自律型組織の概要とそれぞれのメリットデメリットを知り、強い組織づくりのイメージが湧いてきたのではないでしょうか?時代の変化により根本的部分を変えなければならないと焦っていた経営者の方もいたかもしれませんが、今回の内容を参考に組織づくりを行っていただければと思います。

ポイント

ここ10年の間で、リーマンショックがあったり、震災があったり、コロナがあったりと働き方も変容してきました。それに合わせて、組織の在り方も変革する事が求められてきます。ここで紹介した内容をより深く知りたい方は、書籍の紹介をしておくので、興味のある方は読んで見てください。最後に識学については、組織が30名以上の会社にはあうと思います。


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