労働基準法は経営者の必須知識!ルールや罰則を解説! | ゼロワン研究所

2020.6.29

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労働基準法は経営者の必須知識!ルールや罰則を解説!

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ケイティ

「知らぬ間に労働基準法に違反していたら大問題ですよね?」

せっかく立ち上げた事業なのに、労働基準法を知らなかったがために訴えられれば、それが原因で会社が倒産してしまう危険性もあります。

実は、事業を立ち上げたばかりの経営者の中には、労働基準法を詳しく知らない方も多いのです。事業のことに手一杯で労働基準法にまで気が回らないのは分かりますが、違反してしまった場合、知らなかったでは済まされません。

また、既に事業を継続している方でも、何かの拍子に労働基準法違反が明るみに出る可能性も考えられます。「今まで平気だったからこれからも平気」とは限りません。

そこで今回は、経営者の必須知識である労働基準法を、概要から罰則、実例を交えてご紹介していきたいと思います。

労働基準法を押さえておくべき企業とその所管について

労働基準法は、正社員を雇用する時だけでなく従業員を雇う場合には、全ての企業が必ず押さえておく必要があります

また、法人企業だけでなく従業員を雇うのであれば、店舗経営をされている個人事業主の方も知らなければなりません

ですので、これから社員を雇う予定のある方や、既に雇用をしているが労働基準法を詳しく知らない経営者の方は、足元をすくわれない為にも読み進めていただければと思います。

労働基準法の所管は厚生労働省ですので、労働基準法改正などの最新情報を追う場合は、厚生労働省HPから定期的に情報収集すると良いでしょう。

労働基準法の概要って?

まずは詳しい内容を解説する前に、労働基準法の基本的な概念について解説したいと思います。

労働基準法とは、労働時間や賃金、休日など労働者の最低条件を定める法律を言います。1日最大8時間労働、最低でも週休1日など、最低限度守られるべきルールを決めているわけです。

労働基準法を正社員のみに適用される法律だと勘違いしている方は多いですが、実はアルバイトやパートであっても対象に含まれます。その証拠に、例えばアルバイトには最低時給が決められています。

もし労働基準法に違反した場合、違法行為を働いたとして労働基準監督署から指導や罰則を課せられることになります。

労働基準法の具体的な内容は?

労働基準法の一部を改正する法律(平成20年法律第89号)の概要

引用:厚生労働省 労働基準法の一部を改正する法律

労働者の条件を守るための労働基準法ですが、具体的な内容としてはどのようなルールがあるのでしょうか?以下で詳しく見ていきましょう。

※条文を分かりやすくするため、要約しています。労働基準法の原文を見たい方は、こちらをご覧ください。

労働基準法

労働条件の明示(労基法15条)

使用者は労働者と契約する際、労働者に対して賃金や労働時間などの労働条件をしっかりと明示する必要があります。

解雇の予告(労基法20条)

労働者を解雇する場合、少なくとも30日前までに解雇予告を通達しなければなりません。

もし30日前に予告しなかったのに解雇する場合、解雇予告手当(30日分の平均賃金)を支払わなければなりません。

賃金支払いの4原則(労基法24条)

労働者に支払う賃金は、労働者に直接全額を支払わなければなりません。
また、賃金の支払いは毎月1回以上で、かつ支払いのタイミングを決める必要があります(例えば毎月25日など)。

労働時間の原則(労基法32条)

労働者に1日8時間を超える労働をさせてはなりません(休憩時間を除く)。また、1週間のうち40時間を超える労働もさせてはなりません(休憩時間を除く)。

※ただし、変形労働時間制、フレックスタイム制、裁量労働制などの場合は例外です

休憩(労基法34条)

時間ごとに以下の休憩時間を労働者に与えなければなりません。

労働時間が6時間を超える場合=少なくとも45分の休憩時間
労働時間が8時間を超える場合=少なくとも60分の休憩時間

上記の休憩時間は、労働者に一斉に与えなければなりません(人によってバラバラはNG)。

休日(労基法35条)

労働者に対し、少なくとも毎週1日は休日を与えなければなりません。
※4週間を通して4日以上の休日を与えてもOK

時間外および休日の労働(労基法36条)

時間外、もしくは休日の労働をさせる場合は、使用者と労働者の間で労使協定(36協定)を結び、労働基準監督署に届出る必要があります。

届出が受理されれば、36協定の定める範囲で労働時間の延長や休日出勤が許可されます。

時間外労働(休日労働を含まない)の上限は、原則として月45時間・年360時間です。ただし、臨時で特別な事情がある場合は例外として認められる場合があります。

時間外、休日および深夜労働の割増賃金(労基法37条)

法定時間外労働や深夜労働、休日労働をさせた場合、以下のルールに基づく割増賃金を支払わなければなりません。

法定時間外労働=25%増し(※)
休日労働=35%増し
深夜労働=25%増し
法定時間外労働+深夜労働=50%増し
休日労働+深夜労働=60%増し

※1ヶ月の法定時間外労働が60時間を超える場合、超過した時間に対しては50%増しの賃金を支払わなければなりません

年次有給休暇(労基法39条)

雇用した日から6ヶ月継続して労働日の8割以上出勤した労働者に対しては、継続もしくは分割して労働日10日分の年次有給休暇を与えなければいけません。

また、パートやアルバイトの場合は労働時間が短いため10日分ではないものの、一定の年次有給休暇を与えなければなりません。

就業規則(労基法89条)

常時10人以上の労働者を使用する場合、使用者は就業規則を作成して労働基準監督署に届け出なければなりません。

制裁規定の制限(労基法91条)

上記の就業規則で労働者に対する減給のルールを定める場合、1回の減給額は平均賃金の1日分の半額を超え、総額が1賃金支払期における賃金の総額の10分の1を超えてはなりません。

周知義務(労基法106条)

労働基準法や就業規則などは、労働者にとって見やすい場所へ掲示して周知させなければなりません。掲示の他にも、書面の交付など厚生労働省令で定める方法であれば周知として認められます。

労働基準法違反によって与えられる罰則

ここまで労働基準法の内容について見てきましたが、違反した場合、どのような罰則が課せられるか気になるでしょう。具体的な罰則としては、以下の通りになっています。

1年以上10年未満の懲役または20万円以上300万円以下の罰金
1年以下の懲役または50万円以下の罰金
6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金
30万円以下の罰金

労働基準法違反が発覚した場合、すぐに罰則を受けるわけではなく、まずは労働基準監督官による調査が入ります。
そこで違反行為が認められると是正勧告を出されますが、それでも違反行為が続いた場合に罰則が与えられます。

罰則を受けるのは誰?

実際に労働基準法に違反してしまった場合、罰則を受けるのは誰か気になる方も多いでしょう。「指示を出した上司?それとも社長?」実は罰則が与えられるのは、先ほども触れた「使用者」です。

法律上で言う使用者とは、労働基準法第10条で以下のように定められています。

事業主又は事業の経営担当者その他その事業の労働者に関する事項について、事業主のために行為をするすべての者をいう。

つまり、経営者だけでなく労働者に対して権限を持つ者であれば誰でも使用者になり得るということです。例えば部長や所長など、経営者ではなくても業務命令を行う権限を持つ監督者なら使用者となります。

簡単に言えば、「その違反行為を実際に命令していた人」が罰則の対象者となるわけです。

ちなみに、使用者以外に「会社そのもの」も罰則の対象になります。部長や所長1人の責任ではなく、会社全体の責任としても処罰されるのです。これは「両罰規定」と言って、労働基準法第121条で定められています。

労働基準法違反として罰則を受けた実例

最後に、労働基準法違反として実際に罰則を受けた実例をご紹介したいと思います。以下の内容は、厚生労働省によって公表されているものです。

出典:労働基準関係法令違反に係る公表事案: 厚生労働省労働基準局監督課

企業名 違反法条 概要
美容室felice. 最低賃金法第4条 労働者2名に、2か月間の定期賃金を支払わなかったもの
(株)ホクシンラマナプロ ジェクト 最低賃金法第4条 労働者15名に、1か月間の定期賃金を支払わなかったもの
青森県社交飲食業生活衛生同 業組合 労働基準法第20条 労働者を解雇するに当たって少なくとも30日 前の予告又は30日分以上の平均賃金の支払 をしなかったもの
(株)フォーティーン 労働基準法第32条 外国人技能実習生6名に対し違法な時間外労働を行わせたもの
ミニストップ 福島八木田店 (個人経営) 労働基準法第40条 労働者2名に対し、有効な36協定の締結・ 届出なく違法な時間外労働をさせたもの

まとめ:労働基準法は経営者の必須知識!ルールや罰則を解説!

最近では、長時間労働が原因で命をたってしまったり、精神疾患になったというニュースをよく見かけます。
労働者にとっても、働く環境はとても大切です。

労働基準法はこのようなことが起こらないためにあります。
しかし、労働基準法について知らない経営者の方が多く見られるのが現状。

知識があれば職場でのトラブルもすぐに対処ができます。

これから起業する方、すでに起業されている経営者の方にも法律違反をしないために日頃から法律を正しく理解しておく必要があるのです。

このブログで改めて、考える機会になれば幸いです。
※専門性の高い記事になりますので、ライターである佐藤がこの記事を作成をしました。

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