ビジネスモデル×仕組みづくり×マーケティングを得意とするケイティです。
できれば消費者の購買意欲を煽る宣伝の仕方をしたいと思うが、どこまでが限度なんだろう?
誇大広告は景品表示法に引っかかるということを漠然と知っていて、いつか消費者庁から通達が来ないかとヒヤヒヤしている経営者さんも多いのではないでしょうか?
大企業であっても景品表示法に触れてしまうことはあり、意外と見落としがちな盲点と言えます。
また、これから起業する方でもECサイト作成やネット広告を使う場合は、ご自身でもチェックできる知識が必要になります。
違反してから「知らなかった」では、大きな痛手になるからです。
これから起業をする、もしくは既に起業をしている方であれば、景品表示法については最低限知っておくべきです。
このページでは景品表示法の概念や罰則、過去に違反してしまった実例についてご紹介したいと思います。
景品表示法を押さえておくべき業者とその所管について
景品表示法は、商品宣伝を行うすべての事業者が押さえておくべき法律です。
事業に関わる法律には様々なものがありますが、特に景品表示法は、熟知していたとしても違反をしてしまう事があります。
例としては、アディーレ法律事務所が挙げられます。ホームページ上の広告が景品表示法違反にあたるとして、2ヵ月間の業務停止措置命令が2016年に下されました。
この事実に驚くかもしれませんが、景品表示法は専門家であっても過ちを犯してしまう法律なのです。
このような事態にならない為にも、景品表示法の所管は消費者庁になりますので、消費者庁の動向は追うようにしましょう。
経営者が気を付けるべき景品表示法とは?
景品表示法をざっくりと言えば、事業者が過大な景品や広告を掲載し、消費者を惑わすことがないように制定された法律です。
簡単に言えば、根拠もないのに「飲むだけで痩せるダイエットサプリ!」のように宣伝しているのは景品表示法違反にあたります。
消費者にとって不利益なのはもちろんのこと、過大な景品や広告がエスカレートすると、事業者が商品やサービスそのものに力を入れなくなる恐れがあり、それを阻止する目的もあります。
景品表示法では主に、
・商品やサービスの質、価格などを偽って表示する「不当な表示の禁止」
・サービスの内容と見合わない「過大な景品類の提供の禁止」
という2つのことを禁止しています。
前者の「不当な表示の禁止」はさらに細かく言えば、「優良誤認表示」と「有利誤認表示」の2つに別れており、それぞれ該当する内容が違います。
ここまでの説明ではあまりイメージが湧かないと思いますので、想定されるケースと共に、それぞれの禁止事項について以下で詳しく解説していきます。
景品表示法違反1:優良誤認表示
引用:消費者庁よくわかる景品表示法と公正競争規約より
https://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/fair_labeling/pdf/fair_labeling_180320_0001.pdf
優良誤認違反とは、「根拠がないにも関わらず商品やサービスが競合他社に比べて優良であると消費者に誤認させるような表示」のことを指します。
例えば、海外原産なのに国産と表示すると優良誤認に該当します。
実際はそうではないのに、「国内ナンバーワン」や「当社だけ」などと謳うのも同様です。
優良誤認表示に該当するケースの例を並べると、以下のようなものがあります。
▼ 合皮でできた靴を「本革を使用」と表示
▼ 機械で作ったものを「ハンドメイド」と表示
▼ 比較対象を操作して最高スペックと表示
景品表示法違反2:有利誤認表示
引用:消費者庁よくわかる景品表示法と公正競争規約より
https://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/fair_labeling/pdf/fair_labeling_180320_0001.pdf
優良誤認違反と混同してしまいがちですが、有利誤認違反は「商品やサービスの価格や条件を実際のものよりも有利であるように誤認させるような表示」を指します。
例えば、「今だけ半額!」と表示しているのにいつまでも半額の期間が続くなどの場合が該当します。
ありがちなのが、不当に定価を高く設定して、割引されているように見せかける(実際は割引後が定価)といった手法があります。
その他、有利誤認表示に該当するケースの例を並べると以下の通りです。
▼「お徳用増量パック」と表示されているお菓子が通常と同じ内容量
▼架空の定価を表示して元は高い商品に見せかける
▼「100名様にプレゼント」と表示されているのに、実際は10名しかプレゼントされなかった
景品表示法違反3:過大な景品提供
過大な景品提供とは、「サービスに見合わない金額の景品・懸賞を付属させる行為」を指します。
例えば、定価200円のカップ麺に1000円の価値があるオマケを付けると、過大な景品提供に該当します。
“過大”かどうかはどう判断されるか?ですが、これはしっかりとルールが決められています。
ルール
取引価額が1,000円未満は200円が景品類の最高額。
取引価額が 1,000円以上は取引価格の2/10が景品類の最高額。
この基準を超えた景品や懸賞は過大と判断されます。
景品表示法違反に該当するとどのような罰則があるのか?
- ケイティ
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景品表示法違反に該当すると以下のようなペナルティを受けます。
ここまで景品表示法違反の概要について解説してきましたが、ここからは実際に違反した場合の罰則について解説していきたいと思います。
景品表示法違反に対して課される罰則は主に以下の5種類です。
全ての罰則を受けることもあれば特定の罰則だけ受ける場合もあり、違反内容によって変わります。
景品表示法違反の罰則1:行政処分
最初に紹介する行政処分ですが、行政処分には以下の2種類があります。
①措置命令
②課徴金の納付命令
それぞれ詳しく見ていきましょう。
・措置命令
措置命令とは、景品表示法に違反している表示内容を正しく改めること、また以後同じことがないように対策を講じる命令のことです。
措置命令はいきなり下るわけではなく、まずは事業者に事情聴取を行います。そこで言い分が認められれば措置命令は下されず、言い分が認められなかった場合に措置命令が下されるのです。
・課徴金の納付命令
措置命令のみでは罰則が軽く、「しばらくしたらまた過剰広告を打って稼げばいい」と考える人が出てくる恐れがあります。
その対策として取られる措置が、「課徴金の納付命令」です。課徴金というのは、景品表示法に違反して稼いだ金額を言い、これを納付させる、つまり取り上げる命令ということです。
課徴金の納付命令も措置命令と同じでいきなり下されるわけではなく、事前に聴取を行い言い分が認められた場合は納付命令を受けることはありません。
景品表示法違反の罰則2:刑事罰
措置命令を受けたにもかかわらず表示を直さないまま使い続けると、故意に違反しているとみなされ刑事罰を受けることがあります。
刑事罰には懲役と罰金の2通りがあり、
・最大2年の懲役
・最大300万円の罰金
どちらか一方、もしくは両方を課せられる場合があります。
景品表示法違反の罰則3:警告
警告は、措置命令をより強くしたイメージです。
措置命令に従わない場合、消費者庁から警告が出される場合があります。
警告を無視したからといって即刑事罰になるとは限りませんが、警告を無視すると消費者庁にその事を公表されてしまいます。
「景品表示法違反を無視している会社」として公表されると、著しいイメージダウンを招く恐れがあるため要注意です。
景品表示法違反の罰則4:損害賠償請求
景品表示法に違反したことで消費者に損害を与えてしまい、それが不法行為と認められた場合、損害を賠償する必要があります。
当たり前といえば当たり前ですが、それでも景品表示法に違反する、もしくはしそうな広告は後を絶ちません。
損害賠償によって一発で倒産することも十分に考えられるため、シビアに考える必要があります。
ちなみに、これは故意、不可抗力を問わず発生する責任であるため、「知らなかった」では済まされません。
景品表示法違反の罰則5:差止請求
景品表示法に違反している(違反していると思われる)場合、商品やサービスの販売を差し止めるよう請求される場合があります。
差止の請求は「適格消費者団体」から行われますが、簡単に言えば「消費者に景品表示法違反を指摘されると差し止められる可能性がある」ということです。
景品表示法違反で罰則が課せられた実例
ここまでの解説でだいぶ景品表示法についてイメージはつかめたと思いますが、実例を見たほうがより分かりやすいでしょう。
そこで最後に、景品表示法違反になった実例をご紹介します。
今回ご紹介するのは、ファミリーマートの「バター香るもっちりとした食パン」に関する実例です。
措置命令の概要
1.対象商品
ファミリーマートが北海道内において運営する「ファミリーマート」と称するコンビニエンスストア又はファミリーマートとフランチャイズ契約を締結する事業者が北海道内において経営する「ファミリーマート」と称するコンビニエンスストアにおいて供給する「バター香るもっちりとした食パン」と称する3枚切りの食パン、5枚切りの食パン及び6枚切りの食パンの各商品(山崎製パンにおいて製造したもの。以下これらを併せて「本件3商品」という。)
2.対象表示
(1)表示の概要
ア 表示媒体 容器包装
イ 表示期間 平成30年11月18日から令和元年10月17日までの間
ウ 表示内容 「バター香るもっちりとした食パン」と表示するとともに、原材料名欄に「バター」及び「もち米粉」と表示することにより、あたかも、本件3商品には、原材料にバター及びもち米粉を使用しているかのように示す表示をしていた。
(2)実際
本件3商品には、原材料にバター及びもち米粉を使用していなかった。
3.命令の概要
(1)再発防止策を講じて、これを役員及び従業員に周知徹底すること。
(2) 今後、同様の表示を行わないこと。
出典:https://www.caa.go.jp/notice/assets/representation_cms215_200330_1.pdf
まとめ:景品表示法は経営者の必須知識!事例や罰則内容を交えて解説
インターネットが普及したことで、web上でのトラブルも増えました。
虚偽・誇大な表示により、悪質な広告の被害が拡大しているため、年々規制が厳しくなっています。
違反のリスクを回避するためにも、しっかりと景品表示法を押さえておきましょう。
※専門性の高い記事になりますので、ライターである佐藤がこの記事を作成致しました。