ビジネスモデル×仕組みづくり×マーケティングを得意とするケイティです。
- ケイティ
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「新しく生み出した商品やサービスを他の企業にマネされるのって嫌じゃないですか?」
一生懸命考えだした商品やサービスなのに、簡単に他社にマネされてしまったり、むしろマネした他社の商品の方が売れたりしたら、やるせない気持ちになってしまいますよね。
実は、そういった心配は知的財産権を活用すれば回避することが可能です。
著作権は誰でも知っていると思いますが、アーティストが自分の曲を著作権で保護するのと一緒で、商品やサービスも知的財産権で保護すればいいのです。
そこで今回は、知的財産権で新商品やサービスを保護するために、種類や制度の内容を詳しくご紹介していきたいと思います。
知的財産権を押さえておくべき業者とその所管について
知的財産権を守る為や、違反しない為にこの法律を必ず押さえておくべき業者の例を挙げます。
【商標権】:商品・サービスなどを名前をつけて提供販売する全ての業者
【著作権・意匠権】:デザイン・音楽などの著作物がある制作業者
【特許権】:販売する商品に技術的な加工を施す業者
上記のなかで、「販売する商品に技術的な加工を施す業者」というのは具体例がないと分かりづらいので、越後製菓とサトウ食品が訴訟にまで発展した例を挙げます。
越後製菓は切り餅に切り込みを入れて、焼き上がりが綺麗になる技術を特許で取得しました。その後、サトウ食品も切り込みを入れた餅を販売した事によって、訴訟となりました。
切り込みを入れるという技術が特許権の侵害に当たるのですが、それだけで?と思う方もいるかもしれません。しかし、このような技術的な加工を施すことが、意図せず法律に接触してしまう事があるのです。
知的財産権の所管は特許庁ですので、制作・商品販売・加工をする業者は動向を追うようにしましょう。
知的財産権の種類
知的財産は主に3種類あり、
・発明や考案、意匠、著作物、新種の野菜のように人によって生み出されるもの
・商標など、自分の商品やサービスを表示するための名称
・独自の技術やサービスなど、事業活動に有用な情報
などのことを言います。
これら知的財産権をさらに細分化すると、以下の4つは「産業財産権」という括りになります。
・特許権
・実用新案権
・意匠権
・商標権
産業財産権以外の知的財産権には、以下の3つがあります。
・著作権
・回線配置利用権
・育成者権
知的財産権を取得するメリットとは?
知的財産権を取得すると聞くと、「他の競合にマネされないようにできる」というイメージがある方も多いかと思います。確かにそれも大きなメリットの1つですが、それ以外にも以下のようなメリットがあります。
自社の商品や技術をマネされずに済む
上記でも触れましたが、知的財産権を取得する1番のメリットは「他の競合にマネされずに済む」点です。
当然のことながら、自社の商品やサービスは自社のリソースの結晶です。言い換えれば、財産とも言えるでしょう。
これを簡単に他社にマネされては、今まで注いできたリソースが意味をなさなくなる危険すらあります。そうならないために、知的財産権で保護するのはマストでしょう。
自社の開発力をアピールできる
知的財産権の中でも特に特許権や意匠権は、その開発力・技術力が認められなければ審査に通りません。
つまり、特許権や意匠権を取得している時点で開発力・技術力を認められているというアピールに繋がります。
価格競争に巻き込まれずに済む
知的財産権を取得している期間は、権利を有する自社だけがその商品やサービスを提供することができます。そのため、競合との不毛な価格競争に巻き込まれる心配がありません。
知的財産権の種類と例
先ほども触れたいくつかの知的財産権ですが、ここからはそれぞれの内容を詳しく解説していきます。どういった商品・技術に対してどの知的財産権が付与されるのか、参考にしてください。
特許権
まずご紹介するのが、特許権です。特許の名の通り、革新的なアイデアに対して与えられる権利です。
特許権の例:
・熱さまシート
・消せるインク(ボールペン)
特許の存続期間:出願日から20年
実用新案権
特許権が革新的なアイデアや発明に対して与えられるのに対し、実用新案は革新的とは呼べないが、日用品を便利にするなど小さな発明に対して与えられる権利です。
実用新案権の例:
・布団たたき
・鉛筆のお尻に消しゴムをつける
特許の存続期間:出願日から10年
意匠権
意匠権はデザインやグラフィックなど、モノの意匠を保護するための権利です。
例:
・車のデザイン
・斬新なデザインのスマホ
特許の存続期間:登録日から20年
商標権
商標とは、自社の商品やサービスに与えられるネーミングやロゴマークのことを指します。商標権を取得することで、自社のサービス名やロゴを他社にマネされることがなくなります。
例:
・会社や商品のネーミング
・自社のロゴマーク、商品のロゴマーク
特許の存続期間:登録日から10年(※10年毎に更新可)
著作権
著作権はよく聞く言葉ですが、美術作品や音楽作品などの創造物を保護する権利です。アートの分野で使われるイメージがありますが、プログラミングも著作権の一部として扱われます。
例:
・小説の文章、表紙の絵など
・楽曲や美術作品など
・プログラム
特許の存続期間:原則として著作者の死後70年(法人の場合は“公表後”70年)
回路配置利用権
名前の通り、回路の配置を保護する権利です。
例:
・ICチップの回路配置
特許の存続期間:登録日から10年
商号
個人事業主では屋号とも言いますが、事業主が自らを表示するための名称(商号)を保護する権利です。
例:
・株式会社○○など
不正競争防止法
基本的には自由競争と言って利用者が自由に競争する権利がありますが、これを逸脱した行為によって不正に競争することを防止する権利です。
例:
・他社の商品に似通った名前を付け、自社の商品を他社のものと混同させる行為
・他社の企業秘密を不正に入手し、利用する行為
育成者権
あまり聞きなれない言葉だと思いますが、育成者権は植物の新品種を開発・育成した際にそのノウハウを保護する権利です。
例:
・新種の米
・新種のスイカ
特許の存続期間:登録から25年(※樹木は30年)
知的財産権による保護の事例
ここまで知的財産権の種類や取得するメリットについて解説してきましたが、実際に新しい商品を生み出した時に、「何が著作権で何が特許権なのか…?」と分からなくなってしまう方も多いと思います。
そこで以下では、1つの例を出しながら知的財産権の保護の仕方について解説していきます。実際に知的財産権を取得する際の参考にしてください。
例とする商品
例えば自社が新商品として、省電力で強力な空気清浄機を開発したとしましょう。
開発した空気清浄機は、独自のファン形状により省電力ながら強力な風を発生させられるというのがウリです。
そして、この空気清浄機の名前を「サイクロン」という商品名で販売するとします。
知的財産権によって保護できる権利
上記の空気清浄機ですが、知的財産権で保護する場合どういった点がポイントとなってくるでしょうか?
特許権もしくは実用新案権の取得
この空気清浄機は、独自のファン形状により省電力でも強力な風を発生させられるという特徴があります。
独自のファン形状は今までの他社製品より優れたものであり、技術的に独自のアイデアが使われていると言えます。
技術的なアイデアを保護するために、特許権もしくは実用新案権による保護を受けられる可能性があります。
意匠権の取得
独自のファン形状は特許権や実用新案権の取得にも繋がりますが、見方を変えれば独自のデザインを意匠権として保護することも可能です。
意匠権の保護が認められれば他社は同一形状のファンを作り出すことができず、省電力で強力な風を起こすファンを独占的に製造することができます。
商標権の取得
空気清浄機の商標としての「サイクロン」というネーミングは、商標権によって保護できます。商標権が認められれば、他社はサイクロン、もしくは紛らわしいネーミングをつけることができなくなり、自社製品の保護に繋がります。
このように知的財産権は、1つの商品に対して様々な面からアプローチすることが可能です。複数の権利を組み合わせて保護することにより、より自社のブランドを強力に守ることができることでしょう。
まとめ:知的財産権で新商品やサービスを保護!経営者なら知っておきたい知的財産権について
知的財産権があることで、自社の商品や技術が他社にマネされずに保護されます。
そして、マネをされた商品が市場に出回ることもなくなります。
特に、特許権や意匠権を取得すれば、開発力・技術力を認められていることに繋がり、技術力の高い企業であることもアピールできます。
知的財産権で新商品やサービスを保護してください。
※専門性の高い記事になりますので、ライターである佐藤がこの記事を作成致しました。