ビジネスモデル×仕組みづくり×マーケティングを得意とするケイティです。
ビジネスに密接に関係している法律ですが、皆さんは熟知していますか?
どのような内容で起業するかによって、業界毎に接触の可能性がある法律は異なります。
事業に関わる法律は悪意の有無に関わらず違反してしまう事もあるので、順調に売上が伸びていたとしても、足元をすくわれる事態になってしまう事も・・・
ですので、創業前に業種に関わる法律にアンテナを張る必要があるのです。
さて、今回は、これから創業を考えている方や、既に経営をしているが法律に詳しくない方に向けて、経営する方が押さえておくべき法律をご紹介します。
またこの記事を見るだけで、一旦事業に関わる法律のさわり部分は把握できるようにしてあるので、ささーとでもいいので目を通しておいていただけたらなんとなくでもわかるかと思います。
- 法律事務所であっても法律に違反してしまう事もある
- 業種毎に押さえておくべき法律一覧
- 「全業種」で押さえておくべき【税法】の概要
- 「全業種」で押さえておくべき【労働基準法】の概要
- 「全業種」で押さえておくべき【会社法】の概要
- 「全業種」で押さえておくべき【倒産法】の概要
- 「販売を行う事業者」が押さえておくべき【特定商取引法】の概要
- 「主に新しいプロダクトを生み出す事業者」が押さえておくべき【知的財産権】の概要
- 「情報を扱う全ての事業者」が押さえておくべき【個人情報保護法】の概要
- 「製造業者」が押さえておくべき【製造物責任(PL)法】の概要
- 「主に広告を扱う事業者」が押さえておくべき【景品表示法】の概要
- 法律違反をした会社はどうなるのか?~違反後に辿る道~
- 景品表示法違反によって倒産した事例
- まとめ:経営するなら絶対に押さえておくべき法律まとめ~創業前にアンテナを!~
法律事務所であっても法律に違反してしまう事もある
本題に入る前に、法律を押さえる重要性と事業に関わる法律の難しさを知っていただく為に、法律事務所が法律違反を犯した事例を紹介します。
アディーレ法律事務所は、ウェブサイト上に、1ヵ月毎に期間を限定してキャンペーンを打ち出していたのですが、実際には5年近くそのサービスを続け、虚偽の宣伝をしていました。
それが、景品表示法違反にあたるとして消費者庁より措置命令が下され2ヵ月の業務停止に。
アディーレ側としては、景品表示法違反の認識はなかったそうですが、法律を熟知していたとしても、このように注意不足によって法律違反を犯してしまう事があるのです。
業種毎に押さえておくべき法律一覧
本題に入り、事業を立ち上げる前には、下記表より業種毎に法律を押さえておきましょう。
業種 | 押さえておくべき法律 | 所管 | 詳細URL |
全業種 | 税法 | 法務省 | 【税法】全ての事業者が知っておくべき税金のあれこれ |
全業種 | 労働基準法 | 厚生労働省 | 労働基準法は経営者の必須知識!ルールや罰則を解説! |
全業種 | 倒産法 | 法務省 | 【倒産法】経営者に向けて倒産の流れを具体的に解説! |
全業種 | 会社法 | 法務省 | 起業家に欠かせない会社法とは?概要や対象企業もご紹介 |
販売を行う事業者 | 特定商取引法 | 消費者庁 | 特定商取引法とは?起業家が知っておくべき内容を事例と併せてご紹介! |
主に広告を扱う事業者 | 景品表示法 | 消費者庁 | 景品表示法は経営者の必須知識!事例や罰則内容を交えて解説 |
主に新しいプロダクトを生み出す事業者 | 知的財産権 | 特許庁 | 知的財産権で新商品やサービスを保護!経営者なら知っておきたい知的財産権について |
情報を扱う全ての事業者 | 個人情報保護法 | 消費者庁 | 個人情報保護法は顧客情報を扱う事業主の必須知識! |
製造業 | 製造物責任(PL)法 | 消費者庁 | 製造物責任法(PL法)とは?対策や対応の流れについて |
旅館・ホテル業 | 旅館業法 | 厚生労働省 | https://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/seikatsu-eisei04/03.html |
建設業 | 建設業法 | 国土交通省 | https://www.mlit.go.jp/totikensangyo/const/1_6_bt_000175.html |
金融業 | 銀行法・金融商品取引法・貸金業法 | 金融庁 | https://www.fsa.go.jp/common/law/index.html |
医薬品製造業 | 薬事法 | 厚生労働省 | https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000045726.html |
飲食店・食品製造業 | 食品衛生法 | 厚生労働省 | https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000197196.html |
「全業種」で押さえておくべき【税法】の概要
税法とは、税金に関する法規の総称のことです。
税の負担は決して軽視できるものではないので、できる範囲の節税対策は必須です。しかし、売上の過小申告や経費の水増しなどの脱税によって刑事罰を受け、10年以下の懲役もしくは1000万円以下の罰金となる事があるので、税法の知識は事前につけておきましょう。
税法に関する詳しい情報は下記をご参照ください。
【税法】全ての事業者が知っておくべき税金のあれこれ
「全業種」で押さえておくべき【労働基準法】の概要
労働基準法とは、労働に関する条件を定めた法律のことです。従業員を雇用する場合には、労働基準法で定められたルールの上で、働いてもらう必要があります。世間的にも働き方については見直されていますので、必ず押さえておく必要があります。
法律を知らずに悪意がなかったとしても、違反が発覚した場合には労働基準監督官による調査が入ります。「1週間について40時間を超えて労働させてはならない」などのルールは懲役・罰金の対象になりますので、経営者たるもの把握しておきましょう。
労働基準法に関する詳しい情報は下記をご参照ください。
労働基準法は経営者の必須知識!ルールや罰則を解説!
「全業種」で押さえておくべき【会社法】の概要
会社法とは、会社の設立や運営・管理について定めた法律のことです。不正な株式の取得や、規定を無視した剰余金配当などを行うと、法律違反で重い罰則があります。
設立するにも会社法に則って進める必要があるため、これから会社を立ち上げる予定がある方は必ず押さえておきましょう。
会社法に関する詳しい情報は下記をご参照ください。
起業家に欠かせない会社法とは?概要や対象企業もご紹介
「全業種」で押さえておくべき【倒産法】の概要
倒産法とは、破産法・破産法・民事再生法・会社更生法の総称のことです。失敗を前提に起業をする方はいませんが、すべての事業が100%成功するとは限りません。
最高のシナリオだけでなく、最悪の想定も現実的に考えなければ、もしもの時の判断が遅れてしまう恐れがあります。ですので、「会社を立ち上げる段階だから、倒産法とは無縁」と考えず、事前に把握しておくようにしましょう。
倒産法に関する詳しい情報は下記をご参照ください。
【倒産法】経営者に向けて倒産の流れを具体的に解説!
「販売を行う事業者」が押さえておくべき【特定商取引法】の概要
特定商取引法とは、事業者により不公正な勧誘を取り締まり、消費者トラブルを避ける為の法律です。消費者の不安を煽って商品の購入を促したり、勧誘目的である旨を伝えず強引に勧誘したりする行為を禁止しています。
訪問販売・通信販売・電話販売などの商品を販売する業者は、違反によって業務停止命令が下されてしまう恐れもあるため、必ず押さえておきましょう。
特定商取引法に関する詳しい情報は下記をご参照ください。
特定商取引法とは?起業家が知っておくべき内容を事例と併せてご紹介!
「主に新しいプロダクトを生み出す事業者」が押さえておくべき【知的財産権】の概要
知的財産権とは、特許権・意匠権・著作権などの知的財産を保護する法律の総称です。知的財産権の代表的なものに特許権がありますが、特許権の侵害によって数億円の損害賠償となるケースもあります。
ですので、会社を立ち上げて存続させる為に必ず押さえておく必要があります。
また、プロダクトやサービスの発明を他社に真似されないように保護する為にも、事前に覚えておきましょう。
知的財産権に関する詳しい情報は下記をご参照ください。
知的財産権で新商品やサービスを保護!経営者なら知っておきたい知的財産権について
「情報を扱う全ての事業者」が押さえておくべき【個人情報保護法】の概要
個人情報保護法とは、その名の通り個人情報を守るための法律です。個人情報保護法の大切さを知らずに、セキュリティを疎かにしている企業が存在するのは事実です。
意図せず情報を漏えいしてしまい、世間に公表されてしまえば社会的信用は落ちてしまいますので、早い段階で押さえておきましょう。
個人情報保護法に関する詳しい情報は下記をご参照ください。
個人情報保護法は顧客情報を扱う事業主の必須知識!
「製造業者」が押さえておくべき【製造物責任(PL)法】の概要
製造物責任法とは、製品の欠陥によって身体や財産に被害を被った場合に、損害賠償を求めることができる法律です。日本の製品が比較的質の高さを維持出来ているのは、この法律があるかと言っても過言ではありません。
これから製造業で起業しようという方は、製品が消費者の元に届いた後の事を徹底的に考え、リスクを抱えないように製造物責任(PL)法を押さえておきましょう。
製造物責任(PL)法に関する詳しい情報は下記をご参照ください。
製造物責任法(PL法)とは?対策や対応の流れについて
「主に広告を扱う事業者」が押さえておくべき【景品表示法】の概要
景品表示法とは、消費者が正しい判断で商品やサービスを選べるようにする法律です。
例えば、果汁100%と記載しているオレンジジュースが、実際には果汁を含んでいなかった。というような優良誤認表示と、扱う商品を地域最安値と記載しておきながら、実際には売価の調査をせずに他店よりも割高な価格であった。というような有利誤認表示があります。
より魅力的なキャッチコピーで宣伝しようとして、消費者に誤解を招く行為が法律に触れてしまうのです。
法律の内容を熟知せず、知らない内に広告違反のリスクを抱えないように、広告を扱う事業者は特に押さえておきましょう。
景品表示法に関する詳しい情報は下記をご参照ください。
景品表示法は経営者の必須知識!事例や罰則内容を交えて解説
法律違反をした会社はどうなるのか?~違反後に辿る道~
最後に、法律を守る重要性を知っていただく為にも、法律違反によって会社が潰れていく例をご紹介します。
<法律違反によって会社が倒産する一例>
法律違反によって会社が倒産する例を挙げると、
①法律違反を犯すと該当する法律所管の省庁に違反内容が掲載される
②罰則金の支払いや営業停止となる
③銀行が信用情報を知る
④銀行からの融資が全面ストップしてしまう
⑤融資のストップによって資金繰りが悪化
⑥罰則金や営業停止処分などの影響と信用低下による売上急減もあいまって倒産
このようなケースが考えられます。
①に関しては、法律違反の内容が外部に漏れないと思っている方もいるかと思いますが、実際には法律違反の内容が省庁に掲載されていまします。
実際に見ていただいた方がわかりやすいと思いますので、下記URLを参照ください。
参考:特定商取引法ガイド:消費者庁
参考:株式会社TOLUTOに対する景品表示法に基づく措置命令:消費者庁
②に関しては、法律違反をしてしまうと、場合によっては多額の罰則金支払いや、営業停止をせざるを得ない状況になってしまいます。
③④に関しては、銀行は融資をする際に、帝国データバンクや東京商工リサーチと言った民間の信用調査会社のデータを活用しています。さらには、信用情報を扱う日本信用情報機構(JICC)の情報も参考にしています。
※信用情報機関とは、加盟する会員会社に登録される信用情報を管理提供する機関のことで、金融会社に融資審査の為の情報を提供しています。
加盟している会員は下記URLから調べる事が可能です。
参考:加盟会員一覧:日本信用情報機構(JICC)
そして金融機関は、信用情報をシステムによって管理し情報を蓄積しています。
参考:信用情報システム:株式会社オービック
銀行からの融資がストップしてしまう原因として、定量的な評価だけでなく数値で評価しづらい定性的な評価も行っています。細かい融資決定のメカニズムに関しては、独立行政法人経済産業研究所の情報をご覧ください。
参考:独立行政法人経済産業研究所
また、銀行がどのように法人を評価しているのかについて、わかりやすい外部の記事がありますので、詳しく知りたい方は下記をご参照ください。
参考: 工藤公認会計士税理士事務所
景品表示法違反によって倒産した事例
美術品の通信販売を行っていた(株)トップアートは、販売実績のない価格を表示していた事によって、消費者庁に措置命令を受けました。
その後43億円あった売上高が16億円まで急減し、2016年に倒産。
参考:通販通信ECMO(エクモ)
このように、法律違反によって最悪の場合倒産に追い込まれてしまう可能性があるので、それぞれの法律を押さえるだけでなく、所管の動向は追うようにしましょう。
まとめ:経営するなら絶対に押さえておくべき法律まとめ~創業前にアンテナを!~
創業前に、自分の会社、業界がどの法律にふれる可能性があるのかを事前に知っておくことで法律にふれる恐れのあることを回避することができます。
すでに、起業をされている方も、もう1度、ご自分の会社がどの法律にふれる可能性があるのか?を知っておくことをお勧めします。
知らなかったでは済まされないのが法律です。
1度でも違反をしてしまえば、会社の信用が落ちてしまい、最悪倒産に繋がるケースもあります。
なので、経営者は必ず、法律を押さえておきましょう。
※専門性の高い記事になりますので、ライターである佐藤がこの記事を作成をしました。